ゼブラ飲みとは? お酒とノンアルを交互に飲む「新しいようで新しくない」飲み方

公開: 更新: 執筆・編集: アストローカ創業者

ビールを一杯飲む。

次は、ノンアルコールビール。

その次は、またビール。

海外では、こんな飲み方に名前がついています。

Zebra Striping(ゼブラ・ストライピング)。

日本では「ゼブラ飲み」と呼ばれています。


アルコール飲料とノンアルコール飲料を、シマウマの白と黒の縞模様のように交互に選ぶ。

たとえば、ビール → ノンアルコールビール → ビール → ノンアルコールビールという飲み方です。


ただ、ここで少し引っかかります。

酒の途中で、チェイサーや水やソフトドリンクを飲むなんて、昔からあったのでは?

その通りです。


ゼブラ飲みを調べてみると、面白いのは「画期的な節酒法が発明された」ことではありませんでした。

むしろ新しいのは、昔からあった行動に名前がつき、一つの飲み方として認識され始めたことなのかもしれません。

ゼブラ飲みとは、同じ夜に酒とノンアルを行き来すること

ゼブラ飲みは、一度の飲み会や食事、バーなど、同じ飲酒機会の中でアルコール飲料とノンアルコール飲料を交互に選ぶ飲み方です。

「今日は飲む、明日は飲まない」のように、日ごとに交互にする意味ではありません。

英国のホスピタリティ調査会社KAMは、zebra stripingを「同じ飲酒機会にlow & no飲料とアルコール飲料を交互に飲むこと」と定義しています。

必ず、酒1杯 → ノンアル1杯 → 酒1杯 → ノンアル1杯と厳密に一対一で繰り返さなければならない、という公式ルールがあるわけでもありません。


考え方はもっと単純です。

今日は酒を飲む。でも、その日の飲み物を全部アルコールにする必要はない。

これがゼブラ飲みです。


新しいのは「飲み方」ではなく「名前」かもしれない

ここがゼブラ飲みの面白いところです。

酒の途中で水を飲む。

ウイスキーとウイスキーの合間にチェイサーを飲む。

日本酒と一緒にやわらぎ水を飲む。


こうした行動は、2020年代になって突然生まれたものではありません。

Guardianはゼブラストライピングについて、端的に「名前は新しいが、行動は古い」と紹介しています。

VinePairも、この言葉を最初に誰が作ったのかは分からず、アルコールから水やソーダへ途中で切り替える行動そのものは以前から存在していたとしています。


では、昔からある「酒の途中で水を飲む」のと、何が違うのでしょうか。

ひとつ考えられるのは、ノンアルが単なる休憩ではなく「次の一杯」になったことです。


昔ながらのチェイサーなら、ウイスキー → 水 → ウイスキーとなります。

水には大切な役割がありますが、基本的には酒の合間に飲むものです。


一方、現在なら、

  • ビール → ノンアルコールビール → ビール
  • ワイン → ノンアルコールワイン → ワイン
  • カクテル → モクテル → カクテル

という選択ができます。

「アルコールを飲まないターン」にも、その一杯そのものを楽しめる。

水を挟む「節酒法」から、ノンアルを選ぶ「飲み方」へ。

ゼブラストライピングという言葉が成立した背景には、そんな変化もありそうです。


なぜ今、ゼブラ飲みが注目されたのか

ゼブラストライピングが広く紹介されるきっかけの一つになったのが英国です。

2024年、KAMはノンアルコールビールブランドLucky Saintと共同で、英国成人2,000人を対象とした「Low+No: Drinking Differently 2024」を発表しました。

調査では、酒を飲む機会にアルコール飲料の間へノンアルコール飲料を「ほとんど毎回/毎回」挟む人が23%。18〜24歳では35%でした。

※この数字をそのまま「英国人の4人に1人がゼブラ飲みをしている」と一般化すべきではありません。KAMはホスピタリティ業界の調査会社であり、この調査はLucky Saintとの共同調査です。公的統計ではありません。

それでも、アルコールを飲む人が、同じ夜にノンアルも飲んでいるという行動を可視化したデータとしては興味深いものです。


そしてLucky Saintは、新しい行動そのものを発明したわけではありません。

VinePairによれば、「zebra striping」という言葉の起源そのものは不明です。

面白いのはむしろ、すでに存在した行動に名前がつき、調査され、メディアに取り上げられたことで、一つの飲酒スタイルとして見えるようになったという過程でしょう。

「酒の途中でノンアルを飲んだ」ではなく、「今日はゼブラ飲みをした」と言えるようになる。

名前がつくと、それまでバラバラだった行動が一つの文化として認識され始めます。


日本では、行動に「名前」がまだ追いついていない

日本でも「ゼブラ飲み」という言葉は使われ始めています。

ただし、まだ一般的な言葉とは言いにくそうです。

サントリーが2025年に20〜69歳2,060人を対象に行った「ドリンクスマイルレポート2025」では、「ゼブラ飲み」を「よく知っている」「なんとなく知っている」「聞いたことがある程度」まで含めても、認知率は**15.5%**でした。

一方、「お酒とソフトドリンクを交互に飲むことで酔いすぎを緩和できる」という考え方自体の認知率は48.6%でした。20代では59.5%です。

つまり日本では、やっていること、あるいは考え方は知っている。でも「ゼブラ飲み」という名前は知らない。という人がかなり多いことになります。

英国で「昔からあった行動に名前がついた」と言われている状況と、少し似ています。


「日本でゼブラ飲みが広がっている」は慎重に読みたい

もう一つ興味深いデータがあります。

サントリーの「ノンアルコール飲料レポート2025」では、半年以内にノンアル飲料を飲み始めた人の44.5%が、「お酒を飲む前や飲んだ後にノンアルコール飲料を飲むことがある」と回答しています。

半年以上前からノンアルを飲んでいた人では28.2%でした。


サントリーは、この結果から「ゼブラ飲みが広がっているようです」と説明しています。

ただし、ここは調査の設問まで見る必要があります。

聞かれているのは、「酒とノンアルを1杯ずつ交互に飲んでいますか?」ではありません。

「お酒を飲む前や飲んだ後にノンアルを飲むことがあるか」です。

たとえば、ビール → ビール → ビール → 最後だけノンアルという人も、この設問では該当する可能性があります。


したがって、「半年以内にノンアルを飲み始めた人の44.5%がゼブラ飲みを実践している」と読むのは正確ではありません。

メーカー自身が「ゼブラ飲み」という飲み方を提案していることも踏まえれば、調査結果とメーカー側の解釈は分けて見るべきでしょう。


それでも、お酒とノンアルを「別の日に飲むもの」ではなく、同じ飲酒機会に組み合わせる人が一定数いることは読み取れます。


ゼブラ飲みをすれば、二日酔いにならない?

では、ゼブラ飲みには実際どんな意味があるのでしょうか。

ここは難しく考える必要はありません。


たとえば本来、ビール4杯を飲むところを、

ビール2杯+0.00%のノンアルコールビール2杯

に置き換えれば、摂取するアルコール量は減ります。


一方、ビール4杯に加えて、水4杯を飲んだからといって、すでに飲んだビール4杯分のアルコールが消えるわけではありません。


2026年、大分大学などの研究グループが、この点に関連する興味深い研究を発表しました。

健康な日本人男性13人を対象に、同量の日本酒を飲む条件と、同量の日本酒を飲みながら途中で水も飲む条件を比較したランダム化クロスオーバー試験です。

結果として、水を追加しても呼気中エタノール・アセトアルデヒド濃度や、翌朝の主観的な二日酔い症状などに有意な差は確認されませんでした。

もちろん、この研究は13人という小規模な試験で、参加者は全員男性、ALDH2が高活性型の人に限定されています。

そして何より、ノンアルコールビールを交互に飲むゼブラ飲みそのものを検証した研究ではありません。

したがって、この研究だけから「ゼブラ飲みには効果がない」と結論づけることもできません。


ただ、少なくとも考え方は整理できます。

ノンアルや水を挟むことが、摂取したアルコールを帳消しにするわけではない。

ゼブラ飲みでアルコール摂取量を減らしたいなら、

本来なら酒だった一杯を、ノンアルに置き換えることが重要です。

ゼブラ模様そのものに魔法があるわけではありません。


ゼブラ飲みで、本当に面白いのは健康効果ではない

ここまでなら、ゼブラ飲みは「飲みすぎを防ぐための工夫」の一つです。

しかし、ノンアルコールビールという飲み物から見ると、もう一つ面白い変化があります。

従来のノンアルには、「今日は酒を飲めないから、代わりに飲む」という使われ方がありました。

  • 運転するから
  • 翌朝が早いから
  • 今日はアルコールを控えたいから

この場合、普通のビールとノンアルコールビールは、別々の機会に飲まれます。

ところがゼブラ飲みなら、

1杯目:ビール
2杯目:ノンアルコールビール
3杯目:ビール

です。

これは、ノンアルにとってかなり、ちゃんと見定められる飲まれ方です。

直前に普通のビールを飲んでいる。

その次にも普通のビールが来る。

味の差を、その場で直接比較されます。


食品・飲料原料メーカーIFFは2026年、ゼブラストライピングについて、NOLOビールはもはや単なる「代替品」ではなく同じ飲酒機会の一部になり、通常のビールと並んで評価されると論じています。

そして、ボディの薄さや麦汁のような香味、味のアンバランスといった欠点は、こうした飲み方ではより目立ちやすいと指摘しています。

※IFFはノンアル向けの原料や技術を販売する企業です。そのため、この主張には供給側の商業的な視点が含まれているという点は留意すべきです。


それでも、「普通のビールと交互に飲まれるなら、ノンアルにも普通のビールと並べて楽しめる品質が必要になる」という指摘は非常に重要です。

「ノンアルだから、このくらいの味でいい」では通用しにくくなるからです。


「今日は飲む。でも全部を酒にしなくていい」

禁酒なら、「今日は飲まない」です。

Dry Januaryなら、「1月は飲まない」です。


ゼブラ飲みは、そのどちらでもありません。

今日は飲む。

でも、今日飲むものすべてにアルコールが入っている必要はない。

ビールを飲む。次はノンアル。またビールに戻ってもいい。そのままノンアルで終わってもいい。

この曖昧さ、良い意味での適当さこそが、ゼブラ飲みの面白いところなのだと思います。


酒を飲む人。

酒を飲まない人。

これまで別々に分けられがちだった二つの集団も、実際にはそれほどきれいには分かれていない。

同じ人が、同じ夜に、両方を選ぶことがある。


ゼブラ飲みという行動自体は、それほど新しくありません。

ただ、それに名前がついたことで、一つの変化が見えやすくなりました。

ノンアルコール飲料が、「飲めない日の代用品」から、「飲む夜にも選ぶ一杯」になり始めている。

ゼブラ飲みが日本で一般的な言葉になるかどうかは、まだ分かりません。

でも、「飲むか、飲まないか」ではなく、「この一杯にはアルコールを入れるか、入れないか」。

そんな選び方が普通になっていくなら、ゼブラ飲みという言葉は、その変化をかなりうまく表しているのかもしれません。

 

主要な参考資料

  • KAM / Lucky Saint「Low+No: Drinking Differently 2024」

  • VinePair「What Is Zebra Striping? A Catchy New Way to Drink In Moderation」

  • The Guardian「‘Zebra striping’: is this the best way to drink alcohol this Christmas?」

  • サントリー「ドリンクスマイルレポート2025」

  • サントリー「ノンアルコール飲料レポート2025」

  • Imai H, et al. “Water intake during drinking does not alleviate hangover symptoms.” Frontiers in Pharmacology, 2026

  • IFF「Alcohol-Free Beer is Redefining Drinking Occasions with Zebra Striping」

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