筋トレ後のビールで筋肉はつかなくなるって本当?「酒で筋トレが無駄」を研究から検証

公開: 更新: 執筆・編集: アストローカ創業者

「筋トレ後に酒を飲むと、せっかくの筋トレが無駄になる」

そんな話を聞いたことがある人は多いと思います。

実際、このテーマでよく引用される研究では、運動後にアルコールを摂った人の筋タンパク質合成が24%低くなったという結果が報告されています。

24%。

かなり大きな数字です。

では、筋トレ後にビールを1本飲むだけでも、せっかく鍛えた筋肉がつきにくくなってしまうのでしょうか。

 

ここで、その研究のアルコール量を確認してみます。

体重70kgの人なら、純アルコール105g。

5%のビールに換算すると、約2.6L。350mL缶なら約7.5本です。

正直、これだけ大量に飲んだら、「そりゃあ、筋肉どころか、身体全体に悪いだろう」というのは、感じる方々が多いのではないかと思います。

 

「筋トレ後の酒は筋肉に悪い」と聞いて想像する量とは、かなり違うのではないでしょうか。

さらに調べていくと、もっと少ないアルコール量を使った研究では、運動後の筋力回復が悪化しなかった例もあります。

10週間の間、5.4%のビールを、1日330〜660mL飲みながらトレーニングした調査の研究では、除脂肪量や体力の改善が妨げられなかったという結果まであります。

もちろん、だから「筋トレ後のビールは何本飲んでも問題ない」とは言えません。

しかし、

「筋トレ後に酒を飲んだら、その日のトレーニングは台無しになる」

という説明も、研究を読む限りかなり単純化されています。

実際にはどこまで分かっているのでしょうか。

調べてみました。

 

 

結論:少なくとも「酒を飲んだら筋トレが全部無駄」とは言えない

先に結論をまとめます。

  • 大量のアルコール摂取で、運動後の筋タンパク質合成が低下した研究はある

  • ただし、代表的研究の摂取量は5%ビール換算で約2.5〜3L級

  • もっと少ない0.5〜0.7g/kg程度のアルコールを使った小規模研究では、筋力・筋機能の回復が明確に悪化しなかった例がある

  • 5.4%ビールを330〜660mL/日摂りながら10週間HIITを行った研究でも、除脂肪量や体力の改善は妨げられなかった

  • 一方、「筋トレ直後に350mL缶を1本飲んでも筋肥大に影響しない」と直接証明した研究もない

  • 水分補給、食事、睡眠まで含めて回復を最大化したいなら、アルコールを入れない方が不確実性は小さい

つまり、

大量飲酒が筋肉づくりに不利になり得ることと、ビールを一杯飲んだら筋トレが無駄になることは、まったく同じ話ではありません。

順番に見ていきます。

 

「筋タンパク質合成が24%低下」の研究、実際にはどれくらい飲んでいた?

筋トレとアルコールについて調べると、頻繁に引用される研究があります。

2014年にParrらが発表した研究です。

研究では、日常的に運動している若い男性8人に、レッグエクステンション、自転車運動、高強度インターバル運動を行わせました。

その後、3つの条件を比較しています。

  1. プロテインを摂取

  2. プロテイン+アルコールを摂取

  3. 炭水化物+アルコールを摂取

アルコール量は、体重1kgあたり1.5gでした。

体重70kgなら純アルコール105g。

厚生労働省が示す純アルコール量の計算方法で5%ビールに換算すると、

  • 350mL:約14g

  • 500mL:約20g

なので、105gはおよそ、

5%ビール2.6L

です。

350mL缶なら約7.5本。

研究参加者の平均体重は79.3kgだったので、実際の平均量では純アルコール約119g、5%ビールなら約3Lになります。

かなりの量です。

それでも、結果そのものは重要

だからといって、この研究に意味がないわけではありません。

運動後2〜8時間の筋タンパク質合成(MPS)は、プロテインだけを摂った条件に比べ、

  • アルコール+プロテイン:24%低い

  • アルコール+炭水化物:37%低い

という結果でした。

筋タンパク質合成とは、その名の通り筋肉を構成するタンパク質を新しくつくる働きです。筋トレ後の修復や適応に関わります。

特に重要なのは24%の方です。

同じ量のプロテインを摂っているにもかかわらず、アルコールを加えた条件では筋タンパク質合成の反応が弱くなっています。

つまり、

大量のアルコールを飲むと、プロテインを摂っていても運動後の筋タンパク質合成が抑えられ得る。

これは研究から言えます。

ただし、

「ビールを飲むと筋トレ効果が24%減る」

とは言えません。

ビール1本を調べた研究ではないからです。

なお、この研究でもアルコールを摂った条件の筋タンパク質合成がゼロになったわけではありません。

「酒を飲んだ瞬間、それまでの筋トレが消える」という話でもありません。

 

では、もっと現実的な飲酒量ではどうなる?

ここからが本題、面白いところです。

「5%ビール2.6Lで筋タンパク質合成が低下しました」と言われても、筋トレ後に350mLを1〜2本飲みたい人には、そのまま当てはめられません。

そこで、もっと少ないアルコール量を使った研究を見てみます。

 

0.5g/kgでは、筋力回復に差が出なかった

2011年、Barnesらは健康な男性10人を対象に実験しました。

参加者には、大腿四頭筋に強い筋損傷を起こす300回の最大伸張性収縮を行わせています。

その後に摂取したアルコール量は、

0.5g/kg。

体重70kgなら純アルコール35gです。

5%ビールなら約875mL。350mL缶なら約2.5本分です。

決して少量ではありませんが、2.6〜3Lよりはかなり現実的な範囲です。

36時間後と60時間後に筋力を測ったところ、運動そのものによる筋力低下は起きたものの、アルコールを摂った条件とノンアルコール条件の間に明確な差は確認されませんでした。

つまり、この実験では、

0.5g/kgのアルコールを運動後に摂っても、筋力回復がさらに悪化したとは言えなかった

ということです。

ただし、これは筋力の研究です。

筋タンパク質合成を測ったわけではありません。

 

量を1.0g/kgにすると、悪化した研究もある

同じBarnesらの研究グループは、1.0g/kgを使った実験も行っています。

体重70kgなら純アルコール70g。

5%ビールなら約1.75Lです。

こちらでは、強い伸張性運動後の筋力低下が、アルコール条件でより大きくなりました。

つまり、

少なくとも「量は関係なさそう」とも言えません。

0.5g/kgでは明確な差が出ず、1.0g/kgでは悪化した研究がある。

ただし、これをもって「0.5g/kgまでは安全、1.0g/kgから危険」という境界が証明されたわけではありません。

被験者数の少ない別々の実験だからです。

ここで見えてくるのは、もっとシンプルなことです。

アルコールは、飲むか飲まないかの二択で考えるより、量を考える必要がありそうだ。

ということです。

 

普通の筋トレ後に0.7g/kgを飲ませた研究もある

さらに、筋トレに近い研究があります。

2014年のHaugvadらの実験です。

対象は普段から筋力トレーニングをしている9人。

行った運動も、

  • スクワット

  • レッグプレス

  • レッグエクステンション

を、それぞれ8RMで4セット。

先ほどの「300回の最大伸張性収縮」より、一般的な筋トレに近い内容です。

男性の低用量条件は0.7g/kg。

体重70kgなら純アルコール49g、5%ビールなら約1.2L。

この研究では、膝伸展筋力、スクワットジャンプなどを24時間後まで調べましたが、低用量のアルコールによって筋機能の回復が悪化したとは確認されませんでした。

興味深いことに、1.4g/kgという高用量でも、この研究で測った筋機能そのものの回復には明確な悪化が出ませんでした。

一方、高用量ではコルチゾールの上昇や、遊離テストステロン/コルチゾール比の低下が確認されています。

この研究からも、

「アルコールを飲めば、翌日の筋力が必ず落ちる」

とは言えません。

ただし、ここでも注意したいのは、

筋力が戻ったことと、筋肥大への影響がないことは同じではない

という点です。

筋力、筋肉痛、筋タンパク質合成、長期的な筋肉量は、それぞれ別の指標です。

 

毎日ビールを飲みながら10週間トレーニングした研究もある

では、一回の飲酒ではなく、何週間も飲みながらトレーニングを続けたらどうなるのでしょうか。

これを調べた興味深い研究があります。

スペインで行われた「BEER-HIIT Study」です。

健康な若い成人が10週間、週2回のHIITを行いました。

トレーニングには、スクワット、デッドリフト、ローイング、腕立て伏せ、バーピーなども含まれています。

飲料条件の一つが、5.4%のラガービールでした。

摂取量は、

  • 男性:330mL×2本/日

  • 女性:330mL×1本/日

を月曜日から金曜日まで。

男性は昼食時と夕食時に1本ずつ、女性は夕食時に1本飲みました。

そして10週間後。

トレーニングを行ったグループでは、脂肪量が減り、除脂肪量が増えました。

その改善は、通常のビールを飲んだグループでも確認されました。

ビールや、それと同量のアルコールを含む飲料を摂ったことによって、HIITによる体組成の改善が明確に打ち消されたわけではありませんでした。

同じBEER-HIIT研究から発表された別の論文でも、VO₂maxなどの体力向上は、ビール・アルコール摂取によって妨げられなかったと報告されています。

これはなかなか意外な結果です。

ただし「毎日ビールを飲んでも筋肥大に問題なし」という研究ではない

ここは重要です。

BEER-HIIT Studyには、いくつか大きな限界があります。

まず、これは筋肥大を目的としたレジスタンストレーニングだけの研究ではありません。

HIITです。

また、ビールを「トレーニング直後」に飲ませた研究でもありません。

男性は昼食と夕食、女性は夕食に摂っています。

測定された除脂肪量も、純粋な骨格筋量と完全に同義ではありません。

さらに、参加者は最初から「アルコールを飲むグループ/飲まないグループ」に完全無作為に割り付けられたわけではなく、アルコール摂取を希望するかどうかを本人が選んでいます。

したがって、

「筋トレ後にビールを1〜2本飲んでも、筋肥大にはまったく影響しない」

と結論づけることはできません。

それでも、

日常的に330〜660mL程度のビールを飲んだ若い成人でも、10週間のトレーニングによる除脂肪量や体力の改善が打ち消されなかった

という人間の長期データとしては、かなり興味深い研究です。

 

では、筋トレ後のビール1缶はどう考えればいい?

ここまで読んで、

「じゃあ結局、筋トレ後に350mLを1本飲んでいいの?」

と思ったかもしれません。

現在の研究から、一番正確に答えるならこうです。

ビール1缶を飲むことで、その日の筋トレが台無しになると考える根拠はありません。

一方で、

筋トレ直後に350mLを1本飲んだ場合、長期的な筋肥大にまったく影響しないと証明した人間研究もありません。

5%ビール350mLに含まれる純アルコールは約14g。

体重70kgなら約0.20g/kgです。

代表的な研究と並べると、こうなります。

条件 体重70kgでの純アルコール量 5%ビール換算
350mL缶1本 約14g 350mL
500mL缶1本 約20g 500mL
Barnesら低用量研究 0.5g/kg 35g 約875mL
Haugvadら低用量研究 0.7g/kg 49g 約1.2L
Barnesら高用量研究 1.0g/kg 70g 約1.75L
ParrらMPS研究 1.5g/kg 105g 約2.6L

こうして見ると、一般的な350mL缶1本は、運動後のアルコール研究でよく使われている量よりかなり少ないことが分かります。

だから、

「筋トレ後のビール1本で筋肉がつかなくなる」

と断定するのは、現在の研究からは難しい。

反対に、

「1本なら絶対に何の影響もない」

とも断定できません。

研究されていない部分を、あることにもないことにもできない。

ここは素直にそう考えるのがよいでしょう。

 

「何時間空ければ大丈夫?」にも明確な答えはない

もう一つよくある疑問が、

「筋トレ後、何時間空ければ酒を飲んでも大丈夫?」

です。

これについても、

2時間なら大丈夫、4時間なら影響しない、といった科学的に確立された境界はありません。

たとえばParrらの研究では運動1時間後からアルコール摂取を始めています。

しかしこれは、「1時間後」と「3時間後」と「6時間後」を比較した研究ではありません。

したがって、

筋トレ後○時間空ければアルコールの影響がなくなる

というルールを研究から作ることはできません。

時間を気にするより、

飲酒量を増やさないこと、水分と食事を先に確保すること

の方が、現実的には考えやすいでしょう。

 

筋肉だけを見ればいいわけではない

ここまでの研究を見ると、

「ビール1本くらいなら、そこまで怖がらなくてもいいのでは?」

と思うかもしれません。

筋肉だけを見れば、少なくとも「1本で全部台無し」という根拠はありません。

ただし、運動後の回復は筋タンパク質合成だけで決まるわけでもありません。

水分:ビールを最初の水分補給にしない

アルコールには尿量を増やす作用があります。

一方、ビール自体にも大量の水分が含まれるので、

「ビールを飲むと、飲んだ水分以上に必ず脱水する」

と単純に言うのも正確ではありません。

実際、運動後の0%、2%、5%ビールなどを比較した小規模研究でも、水分バランスの結果はそこまで単純ではありませんでした。

とはいえ、通常のビールをスポーツドリンクのように扱う根拠もありません。

汗をかいた後なら、まず水分を確保する。

これはビールを飲むかどうかとは別の話として考えた方がよいでしょう。

 

食事:酒で回復食を飛ばさない

筋トレ後に必要なのは、アルコール対策用の特殊な食品ではありません。

タンパク質や、運動量に応じた炭水化物を含む普通の食事です。

アルコールそのものの作用だけでなく、

ビールを飲んで満足して、食事を十分に摂らない

という間接的な影響もあります。

プロテインを飲んだから、あとはどれだけ酒を飲んでも帳消しにできる、という研究もありません。

睡眠:眠くなることと、よく眠れることは別

夜に筋トレをする人なら、睡眠も考える必要があります。

アルコールで眠気を感じたり、寝つきが早くなったりすることがあります。

しかし、

寝つきが早いことと、睡眠の質が高いことは同じではありません。

2025年のシステマティックレビューとメタ解析では、健康な成人を対象とした27研究を統合した結果、アルコールによるREM睡眠への影響が確認されています。

つまり、

筋肉そのものへの影響がはっきりしない少量でも、「翌朝どう過ごしたいか」は別の判断材料になります。

 

結局、筋トレ後に飲んでいい?

目的によります。

その日の目的 考え方
筋肥大・回復を少しでも最大化したい アルコールを入れないのが最も確実
筋トレ後にビール1本を楽しみたい 1本で筋トレが台無しになるという根拠はない
何本も飲む予定 量が増えるほど、筋タンパク質合成・筋力回復・睡眠などへの懸念は大きくなる
翌日に試合や、高強度トレーニングがある アルコールを避ける合理性は高くなる
ビールの味や「一杯」の時間が欲しい アルコール分0.00%という選択肢もある

筋トレをした日に酒を飲むことを、必要以上に罪悪視する必要はありません。

一方、

「少量の影響がはっきり証明されていないなら、好きなだけ飲んでも問題ない」

という話でもありません。

何を優先する日なのか。

これくらいの捉え方が、現在の研究には一番合っています。

アルコールを入れずに「一杯」だけ残す選択肢

今回、筋トレとアルコールについて研究を調べてみて、少なくともASTROCAが、

「筋トレした日はアルコールを飲んではいけない」

と言う根拠はありませんでした。

ビール1本で筋トレが台無しになる、という根拠も確認できません。

今日はトレーニングを頑張ったから、普通のビールを飲みたい。

そんな日があってもいいと思います。

一方で、

  • 明日のトレーニングを優先したい

  • 翌朝から仕事に集中したい

  • 睡眠への影響を避けたい

  • 今日は酔いたいわけではない

という日もあります。

そんなとき、ビールの味や炭酸、一日の終わりにグラスを傾ける時間まで諦める必要はありません。

アルコール分0.00%のビールテイスト飲料なら、エタノールを入れずに「一杯」の時間だけを残すことができます。

もちろん、それ自体がプロテインやスポーツドリンクになるわけではありません。

水分も、食事も、睡眠も別に必要です。

0.00%は「筋肉に良い飲み物」ではなく、

今日はアルコールを入れたくない。でも、ちゃんとおいしい一杯は飲みたい。

そんなときの選択肢の一つです。

ASTROCAは、「頑張る人に、良いスイッチオフを。」を掲げ、アルコール分0.00%のクラフトビールテイスト飲料を開発しています。

飲む日と、飲まない日の間に。

もっとおいしい選択肢を増やしたいと考えています。

 

まとめ

筋トレ後にアルコールを飲むと、筋肉がつかなくなる。

研究を調べてみると、そこまで単純な話ではありませんでした。

筋タンパク質合成が24%低下した有名な研究で使われたアルコール量は、体重70kgなら5%ビール約2.6L相当です。

一方、0.5〜0.7g/kg程度を用いた小規模研究では、筋力や筋機能の回復が明確に悪化しなかった例があります。

さらに、5.4%ビールを330〜660mL/日摂りながら10週間HIITを行った研究でも、除脂肪量や体力の改善は妨げられませんでした。

だからといって、

「筋トレ後のビールには何の影響もない」

と証明されたわけではありません。

特に、350mL缶1本が筋タンパク質合成や長期的な筋肥大をどれだけ変えるかを直接測ったデータは不足しています。

現在の研究から最も妥当なのは、

「大量飲酒は避けたい。しかし、ビール1本で筋トレが全部無駄になると考える根拠もない」

という結論です。

最大限の回復を目指すなら飲まない。

普通のビールを楽しみたい日は飲む。

ビールの味は欲しいけれどアルコールはいらない日は0.00%を選ぶ。

その日の目的に合わせて選べばよいのです。

参考文献・参考資料

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  10. 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」

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