アストローカでは、これまで数十本のノンアルコール・低アルコールビールを実際に飲み、レビューしてきました。
一つ明確にしておきたいことがあります。
アストローカのレビューやランキングは、万人にとって客観的に正しい順位ではありません。
一人の人間、アストローカ創業者が継続して飲み比べた結果です。
良くも悪くも、「私という一人の人間」が、全て飲んだ結果です。
採点するチームメンバーによって好みが分かれることも、採点基準が分かれることもありません。
そして、私が総合評価で最も重視しているのは、かなり単純です。
自分が、もう一度飲みたいと思うか。
香り、味、苦味、口当たり、泡、後味。その商品が目指しているスタイルとして成立しているか。
いろいろな要素を見ますが、最終的には「また飲みたいか」に戻ってきます。
だからこそ、「この人は何を美味しいと感じ、何を嫌うのか」を先に公開しておくべきだと考えました。
私の評価で最も重い減点要因は、wortyな麦汁感、糖そのものを意識する甘さ、飲み終わったあとのベタつきです。(wortyとはなにかについては、後述します)
この記事では、今後のレビューやランキングを読むための、私自身の「味の物差し」をまとめます。
※これまでに投稿したレビューについては、下記の記事にてまとめています。
「美味しくない」と「不快」は、私の中では違う
まず、一番重要なことから書きます。
私にとって、「美味しくない」と「不快」は同じではありません。
分かりやすいのが、水っぽいノンアルコールビールです。
味が薄く、飲んでもほとんど余韻がない。
こういう商品を高く評価することはありません。物足りないし、もう一度積極的に飲みたいとも思いません。「虚無」と表現することもあるでしょう。
ただ、水っぽいだけなら、それほど不快ではありません。
これは、wortyな香味や強い甘さ、飲み終わったあとのベタつきとはかなり違います。
水っぽいものは「魅力が足りない」。
一方で、wortyや甘さ、ベタつきが許容できる範囲を超えて目立つと、「これ以上飲みたくない」に近づいていきます。
この違いは、実際のランキング順位にも影響します。
薄いけれど不快ではない商品が、味は濃いけれど嫌な香味が強く残る商品より上に来ることがあります。
最も重く見る減点要因は、worty・甘さ・ベタつき
私がノンアルコールビールを評価するとき、特に重く見る減点要因がこの3つです。
①wortyな麦汁感
wortyとは、直訳すれば「麦汁っぽい」という意味です。
私はノンアルコールビールで、
- 麦汁そのもの
- 芋
- ジャガイモ
- 生っぽい麦
- 未発酵の穀物
を思わせる香味を感じることがあります。
この感覚がかなり苦手です。
「麦の味がすること」が嫌なのではありません。ビールらしい自然な麦芽感はむしろ好きです。
嫌なのは、発酵前の麦汁をそのまま飲んでいるように感じる香味です。
②糖そのものを意識する甘さ
私は甘味にもかなり厳しい方だと思います。
ただし、甘いものをすべて嫌っているわけではありません。
果実感の中に自然に溶け込んだ甘さや、口に入れたあと短く消える甘さ、小麦らしい優しい甘さなら、むしろ好きです。
苦手なのは、
- 砂糖水
- ザラメ
- 水あめ
- 甘い麦汁
のように、糖そのものを飲んでいるように感じる甘さです。
飲み終わったあとのベタつき
さらに苦手なのが、甘さが飲み込んだあとまで残ることです。
口の中に薄い膜が張ったように感じたり、舌に甘さが張り付いたりする。
味そのもの以上に、この残り方をかなり気にします。
特に、wortyな香味 → 甘さ → ベタつきと続くと、私にとってはかなり厳しい一本になります。
ただし、この3つは「少しでも感じたら即座に大減点」というものではありません。
わずかに感じても、全体として気にならない程度なら大きく評価を下げないこともあります。
一方で、強く前に出る、飲み終わったあとまで長く残る、飲み進めること自体を邪魔するほどになると、総合評価は大きく下がります。
つまり、存在するかどうかだけではなく、どれくらい目立ち、どれくらい飲用体験を損なうかを見ています。
薬品や芳香剤のような香味もかなり苦手
worty・甘さ・ベタつきとは別に、強く不快に感じるものがあります。
薬品や芳香剤を思わせる香味です。
香りを華やかにしようとした結果なのか、原料や製法によるものなのかは、飲んだだけでは分かりません。
レビューでは原因を勝手に決めません。
ただ、飲み手として、「香りが飲料全体から浮いている」「薬品のように感じる」となると、かなり大きな減点になります。
同じように、植物をそのままかじったような苦味や、不自然に長く残る苦味も得意ではありません。
高く評価するのは「高いピーク、短いテール」
では、逆にどんなノンアルコールビールを高く評価するのか。
私の好みを一言で表すなら、高いピーク、短いテールです。
これは私自身が味を考えるときに使っている表現です。
ここでいう「高いピーク」は、その商品のスタイルや狙いの中で、飲み始めに明確な魅力があることを指しています。
すべての商品に強烈な香りや濃い味を求める、という意味ではありません。
- 軽快なラガーなら、爽快さや自然な麦の香りが魅力になるかもしれない
- ヴァイツェンなら、発酵香や柔らかな口当たりかもしれない
- ホップを大きく打ち出した商品なら、華やかな香りがピークになるかもしれない
大切なのは、飲み始めに「この商品の良さはここだ」と感じられることです。
そして「短いテール」は、飲み込んだあとに嫌なものが必要以上に残らないこと。
甘さも、苦味も、麦汁っぽさも、異物感も、後味に重く居座らない。
飲み始めには明確な魅力があり、飲み終わりはきれいに切れる。
私はこの香味の流れをかなり好みます。
「軽い」と「薄い」は同じではない
私は、軽い飲み物が嫌いなわけではありません。
むしろ、軽快でグビグビ飲めて、飲み終わりがすっきりしている飲み物は好きです。
問題は「軽い」ことではなく、味までなくなっていることです。
香りがある。
一口目にもちゃんと味がある。
それなのに重たくなく、すっと消える。
これは私にとってかなり好ましい状態です。
反対に、ただ水っぽくて何も感じない商品は、不快ではありませんが高評価にもなりません。
理想は、軽い。でも、味はちゃんとある。です。
苦味は、強ければ強いほどいいわけではない
苦味についても、単純な強さでは評価していません。
私が好むのは、
- 他の香味と自然につながっている
- 飲料全体を締めている
- 不自然に浮いていない
- 必要以上に長く残らない
苦味です。
反対に、植物的な苦味だけが後半に突然出てきたり、飲み終わったあとまで舌に居座ったりすると評価は下がります。
つまり、苦味の量より、質と消え方を見ています。
すべてのノンアルコールビールを同じ味で評価しているわけではない
もう一つ重要なのが、商品ごとに目指している味が違うことです。
軽快なラガーと、ホップを強く打ち出した商品では、当然期待するものが違います。
軽快なラガーなら、その軽さや爽快感が魅力として成立しているかを見る。
ホップを大きく訴求している商品なら、本当にそれらしい香りや味があるかを見る。
私は、すべての商品を一つの理想形に当てはめて採点しているわけではありません。
その商品が何を目指しているのかを踏まえて、どこに魅力があるのかを見る。
ただし、スタイルとしてよくできていること自体が、最終順位を決める独立した最上位基準ではありません。
最終的には、そうした特徴をすべて含めて、自分がまた飲みたいと思うかで評価します。
香り何点、泡何点という足し算では評価していない
アストローカのレビューでは、香り、味、苦味、口当たり、泡、後味などをそれぞれ見ています。
ただ、それぞれに配点を決めて合計しているわけではありません。
たとえば、泡が非常にきれいでも、強いwortyや薬品っぽさがあれば、私の総合評価はかなり低くなります。
逆に、泡持ちに多少弱点があっても、香りと味が良く、飲み終わりまで気持ちよく飲めれば高評価になることがあります。
三大不快要素についても、固定の減点幅があるわけではありません。
少し感じても気にならないことはありますし、強く目立って飲み進めるのを妨げるなら大きく評価を下げます。
それぞれの項目は、点数を計算するためではなく、「なぜ私はこの商品をまた飲みたい、あるいは飲みたくないと思ったのか」を説明するために見ています。
最終的な基準はもっと単純です。
もう一度飲みたいか。
結局、そこに戻ってきます。
主観だからこそ、先に物差しを公開しておきたい
アストローカの味ランキングは、私一人が継続して飲み比べた主観評価です。
だから、順位だけを絶対的な正解として見てほしいとは考えていません。
大切なのは、誰が、どんな物差しで評価した順位なのかが分かることです。
私の評価軸を知っていれば、「自分も同じところが気になるから、このランキングは参考になりそう」と思う人もいれば、
「自分とは好みが違うから、順位よりレビュー本文を参考にしよう」と思う人もいるはずです。
それでいいと思っています。
この記事は、アストローカのレビューやランキングを、順位だけではなく、評価者との好みの近さまで含めて読むための基準表です。