ハイボールはビールより太らない?「太りにくいお酒」はあるのか

公開: 更新: 執筆・編集: アストローカ創業者

「ビールは太るから、ダイエット中はハイボールにしている」

これは、半分は正解です。

同じ350mL、同じアルコール度数5%で比べると、一般的なビールは約150kcal。
ウイスキーを無糖の炭酸水だけで割ったハイボールなら約100kcalです。

ハイボールの方が約50kcal、約3分の1少なくなります。

350mL・アルコール5% ビール 無糖ハイボール
純アルコール 約14g 約14g
エネルギー 約150kcal 約100kcal
差 約50kcal


だから、「ビールよりハイボールの方がカロリーを抑えやすい」は間違いではありません。

ただし、ここで注目したいのはハイボールにも約100kcal残っていることです。

100kcalは、およそバナナ1本分に相当します。

決して「ほぼゼロ」と呼べる量ではありません。


では、糖質をほとんど含まない無糖ハイボールに、なぜ約100kcalもあるのでしょうか。


答えは単純です。

アルコールそのものにカロリーがあるからです。

ビールのカロリーは、糖質よりアルコールの方が大きい

エタノールは、1gあたり約7kcalのエネルギーを持っています。

純アルコール量は、おおむね次の式で求められます。

飲料量(mL)×アルコール度数×0.8

350mL・5%なら、350 × 0.05 × 0.8 = 約14gです。

14gのアルコールだけで、およそ100kcalになります。


つまり、5%ビール350mLの約150kcalを大まかに分けると、

  • アルコール:約100kcal
  • 糖質など:約50kcal

です。

一方、同じ5%の無糖ハイボールなら、

  • アルコール:約100kcal
  • その他:ほぼゼロ

になります。

ここが重要です。


ビールのカロリーの大部分は、糖質ではなくアルコールそのものから来ています。

だからビールから無糖ハイボールに替えると、約150kcal → 約100kcalにはできます。

しかし、約150kcal → ほぼゼロになるわけではありません。


「糖質ゼロなら太らない」は成立しない

ハイボールや焼酎がダイエット中によく選ばれる理由は、糖質がほとんどないからです。

同じ純アルコール量なら、糖質などが上乗せされる酒より、無糖の蒸留酒の方が総摂取カロリーは少なくなりやすい。


これは事実です。

ただし、糖質ゼロ=カロリーゼロではありません。


ウイスキーにも焼酎にもアルコールがあります。

例えば純アルコール20gを飲めば、酒の種類にかかわらず、アルコールだけで約140kcalあります。

つまり、ダイエット中のお酒選びでは、「糖質は何gか?」だけでなく、「純アルコールを何g飲むのか?」を見る必要があります。


「太りにくい酒ランキング」が記事によって違う理由

インターネットで「太りにくい酒」を検索すると、記事によってランキングがかなり違います。

ある記事ではビールが低カロリー。

別の記事ではハイボールや焼酎がおすすめ。


なぜでしょうか。

比較している条件が違うからです。

例えば100mLずつ比較すると、一般にアルコール度数の低いビールはかなり低カロリーに見えます。

一方、40%前後あるウイスキーは非常に高カロリーです。

しかし、ビール100mLとウイスキー100mLでは、摂取するアルコール量がまったく違います。

実際の飲酒で、ビールとウイスキーを同じ容量だけ飲む人は普通はいません。

酒類を公平に比べたいなら、100mLあたりの数字だけではなく、純アルコール量を揃えて考える必要があります。


同じ純アルコール量なら、何が違う?

例えば純アルコール20gを飲むとします。

ビールでも、日本酒でも、ワインでも、焼酎でも、ウイスキーでも、エタノール20gが持つ約140kcalは共通です。

違うのは、その上に何が乗っているか。


ウイスキー・焼酎などの蒸留酒

無糖で飲むなら、主なエネルギー源はアルコールです。

ビール・日本酒・ワインなどの醸造酒

アルコールに加えて、糖質や残糖などからのエネルギーがあります。


つまり、蒸留酒のアルコールが特別に太りにくいわけではありません。


同じ量のエタノールなら、エタノール由来のカロリーは同じ。

蒸留酒が相対的に低カロリーになりやすいのは、アルコール以外の上乗せが少ないからです。


日本人の実験では、同じアルコール40gでもビール400kcal、焼酎280kcal

この違いを分かりやすく示した日本人対象の研究があります。

健康な日本人に、別の日にビール、日本酒、焼酎を飲んでもらったクロスオーバー試験です。

研究では3種類とも、摂取する純アルコール量を40gに揃えました。

すると、飲料から摂取するエネルギーは、

酒類 純アルコール エネルギー
焼酎 40g 280kcal
日本酒 40g 329kcal
ビール 40g 400kcal

でした。

同じアルコール40gなので、約280kcalは共通です。

しかし、ビールにはさらに約120kcal、日本酒には約49kcalが加わっています。


同じアルコール量を飲んでも、酒類によって総摂取エネルギーが違うという点を、非常に分かりやすく示しています。


ウイスキーをハイボールにすると、カロリーは減る?

では、ウイスキーを炭酸水で割ればどうでしょうか。

例えばウイスキー45mLを、

  • ストレート
  • ロック
  • 水割り
  • ハイボール

で飲むとします。


使うウイスキーが45mLで同じなら、ウイスキー由来のカロリーはほぼ同じです。

炭酸水を300mL足しても、ウイスキーに含まれていたアルコールが消えるわけではありません。


変わるのは、100mLあたりのアルコール濃度とカロリーだけです。


45mLのウイスキーを350mLまで薄めれば、100mLあたりのカロリーは大幅に下がります。

しかし、一杯全部を飲めば、元の45mLのウイスキーから摂るカロリーは変わりません。


水で薄めることと、カロリーを減らすことは別です。

もちろん、薄めることでゆっくり飲むようになり、結果としてウイスキーの総量が減るなら意味があります。

ただ、同じ量の酒を全部飲むなら、炭酸水そのものがカロリーを消してくれるわけではありません。


市販のハイボールなら、5%ビールより高カロリーなこともある

ここまで350mL・5%という条件を揃えて比較してきました。

しかし、実際の缶ハイボールには7%や9%の商品もあります。

同じ350mLでも、

  • 5%
  • 7%
  • 9%

では純アルコール量が大きく違います。


例えば現行商品の栄養表示を見ると、

  • 5%ビール:100mLあたり約43kcal
  • 7%ハイボール:100mLあたり約48kcal
  • 9%ハイボール:100mLあたり約60kcal

という例があります。

350mLにすると、

  • 5%ビール:約150kcal
  • 7%ハイボール:約170kcal
  • 9%ハイボール:約210kcal

程度になります。


つまり、「ハイボールだからビールより低カロリー」とは限りません。


糖質が少なくても、アルコール度数が高ければエタノール由来カロリーが増えるからです。

商品を見るときは、「ビールかハイボールか」だけでなく、「何mLで、何%なのか」まで見る必要があります。


日本酒、ワイン、焼酎はどう考えればいい?

同じ考え方で整理できます。

焼酎

蒸留酒なので、無糖で飲むならアルコール以外のエネルギーは少なめです。

同じ純アルコール量なら、ビールや日本酒より総摂取カロリーは抑えやすい酒です。

ただし、焼酎のアルコール自体には当然カロリーがあります。


日本酒

アルコールに加えて糖質などのエネルギーがあります。

さらに15%前後とビールより度数が高いため、少量でも純アルコール量は増えやすい酒です。


ワイン

ワインも醸造酒ですが、残糖は商品によって大きく異なります。

辛口と甘口では条件が違うため、「ワインなら太りにくい」と一括りにはできません。


甘いサワーやカクテル

ベースが焼酎やウォッカでも、ジュース、シロップ、砂糖入り炭酸飲料などを加えれば、その分だけカロリーが増えます。

「蒸留酒ベースだから低カロリー」とは限りません。


では、本当に「太りにくいお酒」はある?

同じ純アルコール量を飲むなら、無糖のハイボール、焼酎、ウイスキーなどの蒸留酒は、ビールや日本酒より総摂取カロリーを抑えやすいと言えます。


だから、「ビールを無糖ハイボールに替える」という選択には意味があります。

ただし、それを「ハイボールなら太らない」と読み替えるのは違います。


どの酒にも、アルコール由来のカロリーがあるからです。


アルコールのカロリーは「別枠」ではない

「酒のカロリーはエンプティカロリーだから、あまり太らない」と説明されることがあります。

しかし、エンプティカロリーは「カロリーが空っぽ」という意味ではありません。


アルコールは実際に身体でエネルギーとして利用されます。

さらに人を対象とした代謝実験では、アルコール摂取時に脂肪の酸化が大きく低下することが確認されています。

また、22の介入研究・701人をまとめたメタ解析では、アルコールからカロリーを摂ったからといって、その分だけ食事量を減らす補償は確認されませんでした。

つまり、酒100kcalを飲んだから、自然に夕食が100kcal減るとは限らない。

むしろ酒のカロリーが普段の食事に上乗せされる方向に働きやすいことが分かっています。

ダイエット中なら、アルコール由来カロリーも普通に数えた方がよいでしょう。


ビールと同量のアルコールを摂ったら、蒸留酒の方が実際に痩せる?

ここは、カロリー表だけでは答えられません。

興味深い研究があります。

若い健康成人を対象にしたBEER-HIIT研究では、10週間の運動プログラム中に、

  • 5.4%ビール
  • 同じアルコール量のウォッカ+炭酸水

などを摂取してもらいました。

その結果、ビール群と同量アルコール群の間で、体重、腹囲、体脂肪、内臓脂肪に明確な差は確認されませんでした。

 

だからといって、ビールと蒸留酒のカロリー差が無意味ということではありません。

対象は若く健康で、全員が運動を行い、期間も10週間です。

人体の体重変化は、酒のカロリーだけでなく、食事量や活動量など多くの要素で決まります。

ここから言えるのは、「糖質が少ない」という一点だけで、実際の体重変化まで単純に決まるわけではないということです。

 

ダイエット中なら、「何を飲むか」より先に「何g飲むか」

ここまでの話を整理すると、お酒選びには順番があります。

まず見るべきなのは、

純アルコール量そのものです。

そのうえで同じアルコール量を飲むなら、

  • 糖質などの少ない酒を選ぶ
  • 甘い酒を避ける
  • 高アルコール飲料を「糖質ゼロだから」と大量に飲まない

ことで、総摂取カロリーを抑えられます。

 

例えば、ビールを無糖ハイボールに替える。

これは、約150kcal → 約100kcalにするという意味で合理的です。

でも、さらに大きく変えたいなら、

  • 2杯を1杯にする
  • 350mLを250mLにする
  • 7%を5%にする
  • 一部を0.00%に置き換える

など、純アルコール量そのものを減らす方が効いてきます。

 

まとめ:ハイボールはビールより低カロリー。でも「低カロリーな酒」ではない

同じ350mL、同じ5%で比べれば、

  • ビール:約150kcal
  • 無糖ハイボール:約100kcal

が目安です。

 

無糖ハイボールの方が約50kcal、約3分の1少ない。

これは事実です。

しかし、残る約100kcalのほとんどはアルコールそのものから来ています。

だから、「ビールよりは低い」ことと、「低カロリーな飲み物」であることは別です。

ビールでも、ハイボールでも、日本酒でも、ワインでも、焼酎でも、エタノール1gが持つエネルギーは変わりません。

 

「太りにくい酒」を選びたいなら、

  • まず純アルコール量を見る。
  • その次に、糖質や甘いミキサーなどの上乗せを見る。

この順番で考えると、お酒のカロリーはかなり分かりやすくなります。

 

そして、アルコール由来の約7kcal/gそのものを減らしたいなら、酒類を変えるだけではなく、飲む量を減らすか、0.00%に置き換える必要があります。

ハイボールはビールより約50kcal少ない。
でも、約100kcalのアルコールは残っている。

ダイエット中のお酒選びでは、この2つをセットで覚えておくのが一番実用的です。

 

主な参考資料

  • 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」

  • 文部科学省「日本食品標準成分表」

  • Sato K, et al. 日本人を対象としたビール・日本酒・焼酎のクロスオーバー試験

  • Suter PM, et al. The effect of ethanol on fat storage in healthy subjects. New England Journal of Medicine.

  • Kwok A, et al. アルコール摂取と食事エネルギー摂取に関する系統的レビュー・メタ解析

  • Molina-Hidalgo C, et al. BEER-HIIT Study

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